恋人が亡くなって3年過ぎた

気がついたらもう3年前の話になってた。

 

彼氏が事故で亡くなった。

当時大学4年生、必死で向き合った実習明けの月曜日。

 

バイト終わって携帯開いたら大量の連絡

何が起きたか訳が分からなかった

 

バイト先の後輩に素早く別れを告げて、

ビルの階段下で一つ一つ連絡を確認する。

 

信じられなかった。

なんだって、朝いつも通りチャットを送り合っていたのに。

 

私の送った文章には、既読の文字が永遠に表示されることはなかった。

 

 

彼氏は2個下の外国人。

学生ながらに、無理のある遠距離だった。

 

最後にあったのは、1ヶ月前。

周りの友達からは、詐欺だの、現実的じゃないだの、それ本気で付き合ってるっていうのって言われていたけど、本気で結婚を考えたくらい大好きだった。愛してた。

 

泣きじゃくりながら夜の満員電車に乗る。

タオルで必死に顔を隠すけど、きっと隠してきれなかった。

 

 

私と彼の関係を知っている知人から電話がくる。

亡くなったことを知ったのは、4時間後だった。

 

知人の声は落ち着いていた。

 

明日、こっちに来るか。

 

夜21時。

彼の実家へ行くフライトを検索する。

 

幸いにも、平日だったから空きがあった。

 

8時間後出発の飛行機のチケットをすぐに予約する。

 

家に帰ると、過呼吸になるくらい泣く娘をみて、

付き合っていることを何も伝えていなかった両親も察してくれた。

 

必死に宥めてくれた。

 

昔、外国人の彼氏と付き合っていることを何となく匂わせたことがあった。

元々、海外の文化を親だって好きだったから普通に認めてくれるのかなって軽く思った。

 

でも、毎日否定する言葉をかけられた。

 

あー、ダメなんだ。

こんなに好きで、悪い人じゃないのに

 

悲しかったことを今でもよく覚えている。

 

 

そんな親だったけど、

その日は違った。

その晩はずっと側にいてくれた。

 

 

何の頭の整理もつかないまま外が明るくなった。

一睡もできなかった。

 

とにかく必要最低限の荷物をバックパックに詰め込む。

 

朝5時。

お母さんは駅まで車で送ってくれた。

 

悔いのないようにいってきなさいだけ言って別れた。

 

 

 

それからのこともよく覚えている。

彼の住む国についてから、飛行機の乗り換えをした。

 

1日半、ほぼ2日かけてやっと着いた彼の実家の村。

もし彼が生きていたら、その夏に行く予定だった場所をまさかこんなに早く行くなんて想像もしていなかった。

 

そしてまた彼の村も想像を遥かに超えるような所だった。

 

水道、電気の通っていない村だった。

 

到着するやすぐに、

おそらく初めて見る外国人の私をギョロギョロした目で村の人は見ていた。

 

彼の遺体と対面する。

いや、対面する前に見るかどうか聞かれた。

 

見る一択しかなかった。

怖いけど見ないと信じられない、最後にもう一回抱きしめたいと思ってた。

 

意を決した。

 

彼の顔に覆われている布が、親戚の手によって捲られる。

 

恐らく1秒も見ていないだろう。

目眩がして、立っていられなくなった。

 

 

想像はしていたが、

そんな想像なんて無駄なくらい

信じたくなかった。

 

 

生まれて初めて事故に遭って息を引き取る人をみた。

 

あぁ、痛かったよね。辛いよね。

 

私にその傷を半分つけていいから、

一緒に痛みを共感してあげたい。

 

 

私の好きだった人だよね。

一昨日まで連絡取れてた体だよね。

何回も抱きしめてくれたあなただよね。

 

 

感情が入り混じって

信じなきゃいけない目の前の現実を

これでもかってくらい見せつけられ

苦しかった。

 

 

 

 

彼の村では、遺体は棺の中へ、

その後はお墓に入れられる。

 

 

 

 

たしか5日間いたんだっけ。

記憶が曖昧になってきたけど、

お墓に入れる前の日に、棺越しに最後の言葉伝えて、

亡くなった場所に行って、

彼の実家の周り案内してもらって、

 

気持ちの切り替えも出来ないまま帰国した。

 

 

その後1年はしんどかった。

大好きな恋愛の映画が見れなくなった。

友達がSNSにのせる彼氏との写真を見るたびに、死にたくなった。

何もかもがどうでもよくなった。

 

 

 

人はけっこう簡単に死ぬ。

元気な人でも、良い人でも、どんな人でも

最後は死んじゃう。

 

一緒に死にたいとか、

私今世界一不幸だなとか、

考えてたけれど

 

そんなの他人にとっては他人事に過ぎなくて、

何事もないように楽しそうにしている人たちを見ると、行き場のない憤りと、悲しみに暮れた。

 

 

 

3年経った今、

思い出そうと思えばいつでも思い出せる

彼との日々が懐かしくて、愛しくて、

 

でも誰にも伝えることのない

自分だけの大切な出来事になった。

 

 

過去の恋愛を聞かれると、

聞く相手に申し訳なくなって、もう昔の話だしって明るく振る舞っても空気悪くなるし、不幸自慢みたいに思われても嫌で、

 

 

永遠に私しか知りえない話になる。気がする。

 

 

 

 

そしてこの出来事から今日までの間に

2つの出来事があって、

 

 

一つ目が、実は浮気されてたって話

 

二つ目が、その後亡くなった弟と本気で付き合ってみたっていう話

 

 

 

20代前半の恋愛の山場はきっと超えて、

今はとにかく恋愛は休憩。当分いらないかなってところで、明日もお仕事頑張ろ。